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 「相続やお墓のことなど、残される人がやらなければいけないことは、多くあります」

 1月16日、川崎市社会福祉協議会(社協)が同市高津区で開いた「終活セミナー」。当事者としてどんな備えが必要か。訪れた三十数人が、講師の話に真剣に聴き入る。

 「社協でも、葬儀・埋葬を行える親族がいない高齢の方に、人生の最後を安心してお過ごしいただけるよう、支援する事業を行っております」

 最後に、社協の担当者が、実施している「未来あんしんサポート事業」を簡単に紹介していた。

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川崎市の社会福祉協議会が開いた「終活セミナー」。この日のテーマはエンディングノートと、最新の埋葬事情。参加者らは講師の話に熱心に聴き入っていた=2025年1月16日、川崎市高津区、山田史比古撮影

 同事業は、原則65歳以上の同市民に、生前の見守り、死後の葬儀・埋葬、遺言の作成・執行をセットで提供する。入会金や年会費と一定の預託金が必要で、葬儀や埋葬を行える親族がいないことも要件だが、実際に親族がいても葬儀などが難しい状況なら利用できる。1時間あたりなど定額で、入退院の支援や支払い代行といった有償サービスも実施する。

 この事業は、市の補助金も受けて2022年10月に始まった。預託金のあり方などを整理し、2024年度から本格実施している。

 同じく今年度から、国が、身寄りのない高齢者に対する支援を実施する自治体を募集。川崎市も手を挙げ、社協のこの事業は、国の「モデル事業」に位置づけられた。

頼れる身寄りがいない高齢者が直面する多様な困りごと。公的な支援を導入するなら、どんな仕組みが考えられるのか。全国で実施されている「モデル事業」から課題を探ります。

「預託金を払えない」

 身寄りに頼れない高齢者が全…

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